持続可能な地域創造ネットワークについて

投稿日 2020年5月27日

■持続可能な地域創造ネットワークについて

持続可能な地域創造ネットワーク 設立趣意書

2020325

持続可能な社会づくり―今日では当たり前に使われるこの言葉ですが、私たちの社会はど こまで持続可能性を高めることができてきたでしょうか。

我が国においては、社会の持続可能性は主に環境行政の課題として扱われてきました。1970 年代の公害への反省から国内の環境政策は大きな進歩を遂げ、廃棄物処理や省エネルギーな どにおいて一定の成果を上げることができました。その後、地球環境問題がクローズアップ され、1992 年のリオ・デ・ジャネイロでの地球サミットのインパクトもあり、地域の社会・ 経済活動の基盤として環境を重要視する自治体が現れました。1992 年に環境自治体会議が発 足し、2001 年に環境首都コンテストが開始されるなど、各地の環境政策は相互交流と切磋琢 磨を重ねてきました。この間、多数の NGO/NPO が生まれ、持続可能性への多角的アプロー チの必要性を指摘・提案するなど、国や自治体の環境政策に対する影響力を高めてきました。

しかし地方から大都市圏への人口流出、少子高齢化の進展、財政基盤の縮小など、自治体 を取り巻く環境は厳しさを増しており、地域そのものの存続が危ぶまれる状況となってきま した。その中で発生した 2011 年の東日本大震災と原子力発電所の事故は国内外に大きな衝撃 を与え、環境・エネルギー政策をはじめ様々な社会制度を揺るがすものとなりました。また、 懸念されてきた気候変動の影響は現実のものとなり、激甚化した気象災害によって人命や財 産が奪われる事態が毎年のように各地で生じています。この気候危機への対応は、もはや一 刻の猶予も許されません。私たちの暮らしや仕事のスタイル、価値観は、根源的な変革を迫 られています。

こうした中、2015 年に国連で採択された持続可能な開発のための 2030 アジェンダとこれ に包含される持続可能な開発目標(SDGs)は、あるべき社会像について共通の理解をもたら してくれました。すなわち、多様なステークホルダーが連携し、環境・経済・社会の課題を 統合し同時解決的に取り組むことで、地域と世界の持続性を高めていく社会の姿です。

この社会像を各地の政策の中で実践していくことではじめて、政府が掲げる地方創生 SDGs の推進と自律的好循環、地域循環共生圏の形成も具現化するのです。私たちが主体的 になすべきは、身近な地域から世界を変えていくことであり、その実践に求められるのは、 持続可能な発展に向けた社会経済システムとライフスタイルを転換する先駆者・先導者とし ての取組です。そして、各主体がそのリソースを最大限に発揮して支え合うための主体間・ 地域間の「結びなおし」です。

こうした時代の転換点を迎えているとの認識に立ち、環境自治体会議ならびに環境首都創 造ネットワークで互いに環境政策を切磋琢磨してきた私たちは、あらゆるステークホルダー との連帯を拡大・深化させるため、新しい形のネットワークを築くことを決意しました。

私たちが創るのは、自治体、NGO/NPO、専門家・教育関係者がパートナーシップを深め、 次世代や企業ともつながり、互いの力を高め、取組を支えあうネットワークです。各地域が 抱える課題に対し、それぞれの主体が持つ多様な能力や知見を統合して解決策を導き、連携

活動によってこれを実践します。このことにより各地で持続可能な地域づくり、変化する時 代に対応して生き残れる地域づくりを推し進めていきます。

私たちは、地域固有の環境と人類の生存基盤としての地球環境の崩壊を防ぐため、これら と共生する社会・経済システムを各地で確立していきます。そのための人と情報の交流、政 策形成・実践の相互支援、協働のためのマッチングや政策提言に取り組みます。

私たちはこのネットワークを通じて、主体間連携・地域間連携による課題解決のモデルを 示し、もって持続可能な社会を地域から実現していきます。

ぜひ、多くの自治体、NGO/NPO、専門家・教育関係者、企業等のご参加ならびにご支援 をいただければ幸いです。

設立呼びかけ人(2020 年 3 月 25 日現在)

【市区町村長】
片山 健也(北海道ニセコ町長)、山本 進(北海道東神楽町長)、松岡 市郎(北海道東川町長)、 馬場 隆(北海道斜里町長)、小林 康雄(北海道士幌町長)、時田 博機(山形県遊佐町長)、 鈴木 周也(茨城県行方市長)、山田 修(茨城県東海村長)、山岸 正裕(福井県勝山市長)、 牧野 光朗(長野県飯田市長)、古川 雅典(岐阜県多治見市長)、穂積 亮次(愛知県新城市長)、 仲川 げん(奈良県奈良市長)、松本 昭夫(鳥取県北栄町長)、青木 秀樹(岡山県西粟倉村長)、 久保田 后子(山口県宇部市長)、稲本 隆壽(愛媛県内子町長)

NGO/NPO
安藤 多恵子(ふるさと環境市民 副代表)、飯田 哲也(環境エネルギー政策研究所 所長)、 大西 康史(未来の子 共同代表/準備事務局)、小澤 はる奈(環境自治体会議環境政策研究所 理 事長/準備事務局)、風岡 宗人(環境市民 コーディネーター/準備事務局)、下村 委津子(環 境市民 副代表理事/準備事務局)、杦本 育生(環境市民 代表理事/準備事務局)、田浦 健朗 (気候ネットワーク 事務局長)、永田 秀和(中部リサイクル運動市民の会 代表理事)、
萩原 恵子(地域の未来・志援センター 代表理事)、原 育美(くまもと未来ネット 代表理事)、 藤江 徹(公害地域再生センター(あおぞら財団) 理事・事務局長)、宮原 和明(環境ネットワ ークながさき塾 塾長)

【専門家・教育関係者】
白石 克孝(龍谷大学 教授)、白井 信雄(山陽学園大学 教授)、焦 従勉(京都産業大学 教授)、 中口 毅博(芝浦工業大学 教授/準備事務局)、増原 直樹(総合地球環境学研究所 上級研究員)、 松下 和夫(京都大学 名誉教授)、ラウパッハ・スミヤ ヨーク(立命館大学 教授)